学長からのメッセージ
学長挨拶
松山東雲女子大学、松山東雲短期大学の歴史を振り返りますと、1886年、明治19年に「重松テイ」という名の当時13歳の少女が「勉強がしたい」と、後の松山東雲学園の創設者となる「二宮邦次郎」に心の内を打ち明けたことから始まります。その春、二宮邦次郎の自宅で、このたったひとりの生徒に対し、神戸女学院を卒業後すぐ無給で教鞭をとった「増田シヅ」による英語の教室が始まりました。今をさかのぼること133年前の春のことです。
こうして、現松山東雲学園の胎動が始まり、その年の9月には松山女学校として生徒3名、教職員4名で創立記念式が挙行されました。その松山女学校は四国で初めての女学校であり、キリスト教精神に基づいた新しい時代に生きる女子教育の歴史を重畳して参りました。
松山東雲短期大学は1964年(昭和39年)に、松山東雲女子大学は1992年(平成4年)に設置されました。そして今、まさに元号が平成から【令和(れいわ)】に変わる節目の時を迎えております。
「敬天愛人」天を敬い、人を愛する。天つまり人間の力の及ばない自然を敬い、人を愛すること、それは人の有機的集合体である社会を愛すること、安らかな心の居場所こそが今強く望まれているのではないでしょうか。
このような時代に日本は今、女性活躍社会を謳っております。時おりしも、ノーベル平和賞を受賞したマララ・ユスフザイさんが初来日し、2019年3月に東京で開かれた「国際女性会議」に出席されました。マララさんは世界へ向けて女性教育の重要性に言及しております。
松山女学校の開校以来133年間、連綿と引き継いできた二宮邦次郎の女子教育の理念は今現在でも世界のスタンダードです。また、マララさんは2013年の国連本部で行ったスピーチを次のように締めくくっています。
One Child One Teacher One Book and One Pen can change the world. Education is only solution. Education first.
一人の子どもと一人の先生、一冊の本と一本のペンがあれば世界を変えることができる。教育こそただひとつの解決策であり、教育が最優先である。とマララさんは述べています。そのためにも、自分自身は何者か自分自身を知る必要があります。
中央教育審議会は昨年、2040年を見据えた大学教育の在り方について俯瞰力のある人材育成について言及しています。「専門分野についての専門性を有するだけでなく、思考力、判断力、俯瞰力、表現力の基盤の上に幅広い教養を身につけ、高い公共性・倫理性を保持しつつ、時代の変化に合わせ積極的に社会を支え、あるいは社会を改善していく資質を有する人材の育成」、つまり21世紀型市民育成を大学教育に求めているのです。
自分自身の存在を問いながら、現在と将来の社会に対して何ができるかを東雲で探し続けて欲しいと思います。
東雲での学生生活を実り多く充実したものになる様、我々教職員一同全力で支援いたします。皆さんが社会にはばたき活躍できる日を希求・祈念いたします。